組曲ハムレット

  1. ハムレットの憂鬱:「影の王国」
  2. オフィーリアの悲劇  :「忘れな草」
  3. クローディアスの野望 : 「王座の棘」
  4.  ホレイシオの鎮魂歌 : 「エルシノアの夜明け」
 miomio   ●tatsuyakemi ●detchkun

深い夜霧がエルシノアの城壁を覆い、月光は大理石の床を照らす。
デンマーク王子ハムレットは心乱れていた。
その夜、父の亡霊が現れた。

亡霊(父王)
「ハムレットよ……闇の底より、我が声を届けよう。汝はまだ知らぬ、王宮に渦巻く闇を……。」

ハムレット
「この声……父上なのか!? 何ゆえ冥府より私を呼ぶのです……!」

亡霊(父王)
「ハムレットよ……聞け、息子よ。我が死は、自然のものではない。兄クローディアスの奸計によるものだ。彼はこの手で私を毒殺し、王位を奪った。」

ハムレット
「そんな……叔父が……!いや、そんなことがあるものか!父上、あなたは正しき王だった……それが、毒殺とは!」

亡霊(父王)
「復讐せよ、ハムレット。だが、汚れなき母を傷つけることは許さぬ。クローディアスの奸計を暴き、正義を果たせ。」

ハムレット
「復讐……復讐……それが正義というのならば……私はいかに生きるべきなのか……?」

亡霊(父王)
「時は満ちた。我が声を忘れるな……!」




オフィーリア
「冷たい……あなたの目は、まるで私を知らぬよう……。ハムレット様、なぜ……?」

ラエティーズ
「妹よ、彼の言葉を真に受けるな。王家の血に生きる者に、お前の愛は届かぬ。」

オフィーリア
「けれど兄上……私たちは誓いを交わしました……。愛していると……。」

ポローニアス
「娘よ、現実を見よ。彼は復讐に囚われた男。お前の幸せを考える余裕など、とうに捨てたのだ。」

オフィーリア
「ならば、私は……私は何を信じればいいのですか……?」




クローディアス
「神よ……我が罪を、あなたは許されるのか……? 兄を殺し、王冠と王妃を手に入れたこの私を……。」

ハムレット(独白)
「あそこで祈りを捧げているのは叔父のクローディアス!」

クローディアス
「だが、許しを乞うことに何の意味がある? 王として生きるために、私は正当な道を選んだのだ……!」

ハムレット(独白)
「叔父よ……あなたの罪は、夜の闇よりも深く染みついている。私はあなたを裁くべきか……それとも……?」

クローディアス
「ハムレットよ、貴様は知ったのか……?ならば、お前を生かしてはおけぬ……!」




ホレイシオ
「死が満ちる城……王妃も、王も、オフィーリアも……そして、友よ……。」

ハムレット(瀕死)
「ホレイシオ……生きろ……私の代わりに、この悲劇を伝えよ……。」

ホレイシオ
「……王子よ。なぜ、お前はここで倒れねばならなかったのか……!」

ホレイシオ
「私は誓おう……この物語を語り継ぐ。お前の名が、虚しく消えることのないように……。」




ホレイシオは、ただひとり立ち尽くす。
戦友は倒れ、王も妃ももはやこの世にない。
静謐なる死の帳に包まれていた城内に夜明けの光が差し込もうとしていた。